はじめに
カメラやレンズの技術進歩によって素早い野鳥の動きを捉えるのが容易になった現代において、鳥見(バードウォッチングや探鳥とも言ったりする)を趣味とする、いわゆるバーダーが老若男女に関わらず増えてきました。
野鳥は周りの生物に一定の警戒心を抱きながら、ヒトの生活圏や都市公園、里山などで我々と同じ時を生きています。
野鳥に対して過度なストレスを与えたり、警戒心を増幅させるようなマナーの悪い行いは、営巣放棄や姿を見せなくなる原因となり、結果として野鳥の繁殖へ悪影響を与えます。
本記事では、こうした鳥の気持ちもわからず、「自分だけ良ければ良い」「写真が撮れないじゃないか」、そんな自分勝手なことを主張するバーダーには育って欲しくないため、鳥見 初心者向け記事として公開しています。
野鳥を撮影する上でマナーをしっかり守り、バードウォッチングを楽しみましょう。
バードウォッチング・野鳥撮影でのマナー
はじめにすることは
「マナーなんて知りません」、そんなことを言う身勝手な初心者が増えてきました。
情報技術が発達した現代においては、スマートフォンやタブレットなどで簡単に検索できます。例えば、GoogleやSafariを開き、「バードウォッチング マナー」などと検索すれば、簡単にマナーを知ることができます。ちなみに私は15秒で関係記事を見つけました。
信頼できる情報源としては、日本野鳥の会やeBird Japan、カメラメーカ、自治体などがあります。
特に、日本野鳥の会は、野鳥や自然を大切にする活動を全国で展開する自然保護団体ですので、とくに信頼性が高いでしょう。私も、鳥見を始めた当初、右も左もわからないとき、日本野鳥の会に入会し、基礎事項を勉強させていただきました。
また、日本野鳥の会では、鳥見を楽しむ支援をしている場合もあります。例えば秋田県だと、県内の代表的な都市公園や自然が楽しめる場所で、定例の探鳥会を実施しています。これに参加すれば、ベテランの方々が鳥見を基礎から教えていただけますので、野鳥との距離感や、警戒させない接し方・観察の仕方など、色々と教えてもらえると思います。
本題のマナーについて
上述の通り、日本野鳥の会やeBird Japan、カメラメーカ、地方自治体などでは「野鳥撮影でのマナー」と題した記事を数多く拝見します。
全部見ないといけないのか、そんな疑問を抱きませんか。
見てもいいのですが、本質的にはどれも同じだと思いますので、例えば日本野鳥の会の「野鳥撮影マナー」と「野鳥観察・撮影の初心者の方に向けた、マナーのガイドライン」を熟読すれば、鳥見のマナーに関しては十分だと思います。
ただ、留意して欲しいのは「マナーを知っている」と「マナーを習得している」は別物だということです。どういうことかと言いますと、マナーは実践して初めて身につけることができる、ということです。
探鳥会などのイベントに参加しているのであればマナーを実践してその場で指導を受けてさらにマナーを強化できます。単独なら失敗するかもしれないですが自身でマナーを実践していただきたいです。正直、単独だと失敗が多いと思います。ただ失敗して「あーあ」で終わるのではなく、なぜ失敗したのか、この鳥はこの距離はダメなんだ、人の姿を見せてはいけないんだ、急に動いてはいけないんだ、とあれこれ考えて、次の鳥見に繋げる、このトライアンドエラーが重要であると考えています。
後は老若に関わらず、他の人の意見や助言に耳を傾ける、広く寛容な心を持つと尚良いですね。人間の心身の形成は18歳まででほぼ完了してしまい、その後は死ぬまで変わらないと言われています。若いうちなら間に合いますが、年老いてからは相当な訓練、覚悟などがないと自分という人間を変えることは難しいでしょう。ですが、自分はこういう悪いところがある、癖がある、と自覚できれば、その先の人生において気を付けながら生きていくことは可能です。それでは、次より具体的なマナーについて述べていきましょう。
野鳥の場所を人に聞かない、教えない
最近、自分で野鳥を探さずに人から場所を聞いてきて、横柄や態度をとるバーダーが散見されます。
このようなバーダーのことを心のなかで”ヒューマンウォッチャー”や”自称バーダー”というふうに呼んでいます。
彼らは、鳥が趣味です、と言いながらも鳥を探さずに、人に聞いて回ったり、野鳥を撮影している人を探したりする、ちょっとマナーが残念な人たちです。さらに、彼らのほとんどが口が軽くて、同じように野鳥の場所を拡声器のように発信するので収集がつかなくなることもしばしばあります。
中には、ひどい人だと他の人を攻撃してきたり、野鳥を追い回したりと、もう野鳥の趣味以前の前に、人間失格の行動をする人もいます。誰かと交流するのも、良いと思いますが、よく人を見て交流しないと嫌な思いをすることになります。
なので、皆さんには彼らを反面教師にしていただき、できれば人を見る目も養っていただきたいと思います。彼らとの接触を回避し、探鳥を楽しむ、Winのみの関係になっていただければと思います。
親しい人や出会ったばかりだけどいい人、どんな人でも野鳥の居場所を教えてしまうと、ねずみ算式にその場所は拡散されていき、収集のつかない事態となります。
今ではインターネット技術も発達しており、SNSやトークアプリなど、あらゆる手段で光のごとくその野鳥の情報は瞬く間にマナーの悪い人たちによって広まるでしょう。
そんな、マナーの悪い人にならないためにも「口は災いのもと」と心にとめて、言いたい気持ちもわかりますが、絶対に人に教える、聞くのは辞めましょうね。
野鳥を追いかけない
「野鳥を追いかけない」は野鳥撮影のマナーにおける基本中の基本です。鳥が飛んで遠くに行くたびにそれを追いかける、その繰り返しによって野鳥へのストレスは増大します。
遠くから野鳥を警戒させないように、望遠レンズを使う、迷彩ネットで姿を隠す、ブラインド(テントのようなもので人の姿を完全に隠せる)に隠れる、声を出さない、走らない、など野鳥のことを考えて鳥見しましょう。
他のバーダーに配慮した撮影を
自分だけが写真を撮れればいいんだ、こんな気持で鳥見をしてはいけません。後から先客のいる場所に来て、好き勝手物を言う、これは最悪ですね。
有名な撮影場所ではどうしても撮影者同士のトラブルが起きがちですが、マナーをしっかり守り、礼儀正しく他人に接していれば、トラブルが起こる確率は低くなります。
最悪の場合、警察沙汰にもなる事案ですので、鳥見以前の前に人間として、キチンとした礼儀をもって、他者と接したいですね。人間失格な行為だけはしてはいけませんよ。
周囲の一般人や撮影場所には最新の注意を
地元の人や撮影場所の近くの人に迷惑をかけない、仕事をしている人にも迷惑をかけない、私有地に立ち入らない、を徹底することも重要です。
私は山や海岸を訪問して撮影させていただいている身分ですので、地元の人などにあったときはまず挨拶、何をしているのか聞かれたら素直に写真撮影、鳥です、と言うようにしています。
地元の人からしたら、見慣れない車が停まっていて、人がなにかしている、これって不気味ですよね。正体を確かめたいのにも同意します。不要なトラブルは時間のロスにも繋がりますし、地元の人と交友しておけば色々と教えてくれる親切な人もいます。
「鳥だけ」見ていても、いい鳥見はできませんよ。
自然への配慮を忘れない
屋外でゴミを捨てるのは絶対にしてはいけません。不法投棄となる場合もあります。ペットボトルやコンビニの袋に入った食べかす、空き缶など、フィールドには多くのゴミが落ちています。また、タバコの吸殻なんかも結構落ちているものです。
こうしたゴミは環境を汚しますし、巡り巡って野鳥の体内に取り込まれる可能性もあります。その結果、野鳥の尊い命は失われてしまうでしょう。タバコは火の不始末で山火事になるかもしれませんよ?
ゴミはキチンを持ち帰る、適切な場所に捨てる、当たり前のことを徹底してください。
また、野鳥を撮るために構図がイマイチ、絵にならない、からといって自然を破壊する行為も控えましょう。例えば、木の枝が邪魔だから追ってみたり、本来の自然の形そのものを変えてしまうことです。
音声・餌付けによる誘引をしない
鳥の鳴き真似をしたり、クルミなど鳥の餌を置いて餌付けするのは辞めましょう。人間の鳴き真似では寄ってこないと思いますが、いくら姿を見たい、写真を撮りたいからといってそんな次元の低い行為はいけません。
また、餌付けも野鳥が自分で餌をとりにいく気がなくなり、厳しい自然界で生きていくのが大変になります。「あなたはその鳥の面倒を死ぬまで続けるんですか」まぁその場で写真を撮るだけでしょう。野鳥のためを思うなら、音声や餌付けによる誘引は行わずに、自然界でありのまま生きる野鳥の姿を観察しましょう。
また、初心者には敷居が高いので、大々的に取り上げませんが、野鳥の営巣場所に近づかない(初心者はたぶん見つけなれない、偶然に見つけたら近づかないようにしましょう)、ストロボなど強い光が発する機器(フクロウなどは強い光で目がやられます、)で野鳥へストレスを与えない、なども厳禁です。
まとめ
なにも知らないから何をしても許されるのか、法的な罰則などはございませんが、野鳥への悪影響はその種の絶滅や環境の変化を引き起こします。
野鳥へのストレスや警戒心の増幅に加え、他人への妨害行為、威嚇行為、暴力行為はしでかしたことによっては刑法で処罰される場合もあります。失うもののない、いわゆる無敵の方は躊躇することなく、マナーを守って誠実に鳥見をしている人たちに向かってきます。彼らの相手をしていては、せっかく余暇で自然を満喫していても気分が害されます。
これから鳥見を始める初心者の方には、ぜひ正しい野鳥撮影のマナーで鳥見を楽しんでいただきたいと思います。
マナーの悪い事例
人に危害を加え、野鳥を追い回す、高齢女性系バーダーによる嫌がらせ事案
2025年5月下旬に秋田県中央部で起きた事案です。
誰から聞いてきたのか知りませんが、彼女はピンポイントで撮影場所に現れました。自分で探したのだと主張しておりました。真偽は定かではありませんが、初めて数ヶ月で有名な野鳥を次々と見つけ出すなんて不可能ですので、マナーの悪い自称バーダーからの伝聞でしょう。
撮影距離が近いため野生動物を警戒させないようにブラインドに入っている私を横目に堂々と仁王立ち。お目当てが現れると、野鳥に向かってい一目散に突撃していきました。
私は決して怒るなどはせず、やさしく諭すように説明をしましたが、「あなたの場所なのですか」「それはあなたのルールで私には関係ありません」「閉所が嫌なのでそんなテントには入りません」「私が撮れないじゃないか。動いて何が悪い」罵詈雑言を浴びせた挙げ句、「気分が悪いので帰ります」捨て台詞を吐いて、その日は帰宅されました。
最初は穏やかな方だと思いましたが、マナーを指摘された瞬間に態度を豹変。自分が年上だから年下から指摘されるのはプライドを許さないのか、鳥見を始めたばかりだから何をしても許されるのかと思っているのか、いづれにしてもヤバい人間なのだなと直感で悟りました。
態度豹変後の傲慢な態度、他人の迷惑も考えずに自己中心的な行動、初対面の人間に対する態度、どれをとっても悪い意味で超一級品。他者の言葉に耳を傾ける寛容な心を持ち合わせていないようで、それからは何を話しても自分の勝手な主張を繰り返すばかりで、日本語によるコミュニケーションは困難となりました。
別日、また例の自称バーダー系高齢女性が現れました。すると、なんということか、私のブラインドに向かって車で徐行もせずに結構な速さでスレスレを通過するではないか。さらに、車のライトでブラインドを照らして、攻撃しているつもりなのでしょうか。その後、数十秒クラクションを鳴らしっぱなした後、車を急発進させてまたブラインドすれすれを通過して帰っていきました。
犯罪じゃなければ何もしても許されるのかな?車を使った脅しや威嚇みたいな行為で、こちらに迷惑をかける、とんでもない人間もいたもんだ(法界には明るくないですが、これは不法な有形力の行使にあたり、暴行罪となるのではないでしょうか)。このような方が鳥見をしていることが残念極まりなく、人間にも鳥にも優しく接することができないようなら、金輪際、鳥見はやめていただきたい。
この記事に本事案を書いたのは、ネットの世界を通じてこの方をさらしたい、という思いではなく、私のブログを見てくれている秋田の皆さんに秋田にもこのようなヤバい人がいるんだよってことを伝えたかったからです。目的は注意喚起です。晒すなら車種や人などここに表示させています。
皆さんも対人トラブルには十分に注意して、もし被害にあって度が過ぎるとおもったら、警察など専門機関に相談するといいでしょう。警察が逮捕してくれるかは内容に依りますが、記録として残してくれるので、何度も通報してその人を警察に認知してもらいましょう。